Friday, February 1, 2013

What is Life? 「老化と再生医療と若返りについて」(その3)


さて、少し日が空いてしまいましたが、老化と再生医療と若返りについての三回目です。

これまでこのコラムでは以下の三つのことを示してきました。

(1)私たちの体はたった一つの受精卵から始まって、60兆個もの細胞からなるからだとなっていること
(2)緩やかな細胞分裂が続いているために体が維持されている井子と
(3)細胞には分裂する事の出来る回数が決まっていて、それが老化と関係していると考えられていること

そこで今回は細胞の不死化というテーマでお話し致します。

誰しもいつまでも若く逞しく、そして長生きしたいと思うものです(そうでも無い人もいるようですが)。昔の権力者の中にも不老長寿を望んだ人がたくさんいたようです。

前回、細胞は分裂できる回数が決まっていてそれを終えると死んでしまうとご紹介しました。この細胞分裂の回数制限(回数券?)はテロメアと呼ばれる部分がすり減っていって無くなってしまうことで決まっている事が分かっています。

では、そのテロメアが短くなるのを防ぐ事が出来ればどうでしょうか。それが出来れば細胞分裂の回数制限は無くなりそうです。細胞分裂の回数制限が無くなれば、いつまでも若く生き続けられそうです。

私たち人間から見ると、永遠に生きているように思える植物や、無限に分裂を繰り返しているバクテリアなどは一体どうしているのでしょうか。

実は彼らは短くなったテロメアを再び長くするテロメアーゼという酵素を持っていて、その働きでほぼ無限に細胞分裂できる仕組みがあるそうなのです。そうした仕組みがあるおかげで、植物の場合は年老いた老木でもほぼ永遠に近いほど生きる事が出来るそうなのです。

そうしたことが出来れば人も長生きできそうですよね。実は私たちの体の中どんどん細胞分裂を始める細胞が生まれる事が分かっています。しかし、その細胞が原因となって、毎年多くの方が命を落とされています。

それは一体何でしょうか?賢明な方はご存知ですよね。それが「癌」です。

癌は不死化した細胞だと言われています。細胞が生きているとは細胞分裂していることを意味するので、細胞の死とはその逆に細胞分裂できなくなったことを意味します。

癌細胞には細胞分裂の回数制限がありません。体の中で他の正常な細胞よりも速く繰り返し分裂し、体のあちこちに広がっていくことで、人を苦しめて、死に至らしめます。

細胞の不死化とはそうした無限に細胞分裂を繰り返す癌を生み出す事にもなるのです。

ちょっと最後は恐ろしい話になってしまいましたね。今日の話をまとめますと、細胞の寿命が無限になれば老化しないと思いますが、不死化した細胞、癌は決して不老長寿はもたらさないという事です。きっと、何か理由があるのでしょうね。

さて、次回は再生医療のお話に進みます。


本日の講義は以上です。最後に、出欠をとります。以下のバナーをクリックしたことで「出席」と認めます。

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